新潟ワインの未来を切り拓く ― フェルミエとヴィニュロン本多孝氏の挑戦
英国のワインジャーナリスト、ヒュー・ジョンソン氏はファインワインとは「そのワインについて人に話したくなるワインである。」と言います。
それは、飲み手が高い興味をもち、その土地のテロワールに基づく個性をもち、そしてサステイナブルなアプローチで造られる、少量生産の特別なワインです。
世界に誇れるファインワインを、新潟の地で生み出すことを目指しているワイナリー、それが「フェルミエ」です。
“ 海と砂 ” に魅せられたヴィニュロンの決断
栽培・醸造家である本多孝氏は新潟市出身。
幼少の頃から慣れ親しんだ海と砂のテロワールから育まれる新潟の個性溢れるワイン造りを行っています。
≪本多孝氏 略歴≫
1967年 新潟市に生まれる
1991年 筑波大卒、旧日本興業銀行入行
2005年 みずほ証券退職 / カーブドッチ ワイナリー(新潟市)主宰のワイナリー経営塾で学ぶ
2006年 フェルミエ創業
本多氏は、ファインワインは、ヴィニュロン(=栽培や醸造を手掛ける造り手)が「その土地に誇りを持ち、自然の営みを尊重して惜しみなくブドウに愛情を注ぎ、そうしてできるブドウを信頼する」ことにより生まれると信じています。
世界に誇れるアルバリーニョなどのワインを造り、新潟を世界に通用するワイン産地へと昇華させることに貢献していきます。

フェルミエの哲学 |自然と共生する新潟ワイン造り
フェルミエのワイン造りの基本姿勢は「自然を尊重し、自然をありのまま受け入れる」こと。
ヴィニュロンの役割は、ブドウやワインの声を聞き、必要とされる時に適時適切なケアを施す、シンプルかつ当たり前の手法にあると考えます。
【自然の営みを尊重したブドウ栽培】
湿気が多く病害のリスクが高い日本の気候において、除草剤や化学肥料の使用は放棄しつつ、ブドウにとって必要とあらば化学農薬も最小限使用するサステイナブルなアプローチを採用しています。
目指すところは、「新潟の自然が素直に現れる良いワインを造ること」にあります。
【ストレスをかけない繊細なワイン醸造】
フェルミエの畑のブドウから造るドメーヌ・ワインを中心に、すべての工程でワインに極力ストレスをかけないことを心掛けています。
野生酵母による自然発酵に任せ、ワイン本来の個性を引き出します。
ワインの移動は、重力や不活性ガスによる手法で、圧送時もワインに負荷をかけません。
赤ワインの醸造では、機械に頼らず1樽ずつ手作業で醸す工程も取り入れ、より繊細で優しく、この土地らしいワインを生み出しています。
【一人のヴィニュロンが全工程を担う責任】
本多氏は、現場で自らブドウとワインに対峙し、栽培や醸造の全工程に責任を負います。
すべてのブドウやワインに目配りできる量しか扱わないことで、必要な時に適切に対処できるフェルミエ独自のワイン造りを可能にしています。

新潟における “ 海のワイン ” アルバリーニョの可能性
アルバリーニョはスペインの北西部、大西洋沿いのリアスバイシャス地方で栽培され、スペインの白ブドウ品種の中で最も高貴な品種とされています。
【アルバリーニョと新潟の共通項】
リアスバイシャスは多湿なエリアで、年間降水量は1,600~1,800mmと新潟と同等程度。
夏は比較的冷涼で冬も氷点下にならない気候です。
アルバリーニョのブドウは果皮が厚く、湿度が高いリアスバイシャスの気候でも菌類による病気に強い品種です。
これが、日本の多湿な風土で栽培を可能にする重要な要素となっています。
≪栽培の特徴≫
小粒で小ぶりな房ゆえに生産性は低く、特別な手間とコストがかかる品種です。
≪ワインの特徴≫
香り高く、酸やミネラルが豊富でバランスの良い優れた味わい。
「海のワイン」とも称され魚介類との相性が抜群です。
【フェルミエのアルバリーニョの畑と栽培の歴史】
フェルミエは、海岸砂丘(海の影響)と川砂のテロワール(川の影響)の二つの個性的な畑で、アルバリーニョの栽培に取り組んでいます。
≪越前浜の畑(海岸砂丘)≫
- 2005年に最初のアルバリーニョを植栽。
- 海岸砂丘の砂質土壌で仕立ては垣根式(ギュイヨダブル)。
≪信濃川支流沿いの畑(川砂のテロワール)≫
- 2010年以降、古くから果樹栽培に長けたエリアで栽培を開始。
- 信濃川の氾濫・決壊がもたらした川砂のテロワールであり、越前浜のような海の影響は受けません。
- リアスバイシャスに倣い、棚式栽培にもチャレンジし、その畑を2016年より自社畑としています。
【フェルミエの目指すところ】
新潟はリアスバイシャス同様「選ばれたアルバリーニョの土地」であると信じて疑いません。
品種本来の溌剌とした酸や白桃・アプリコットのようなフルーツの香り・テイストに加え、フェルミエは以下の新潟の自然の個性が素直に現れるワイン造りを目指しています。
- 越前浜の海のテロワールの影響が具現化されるミネラル感。
- 砂質土壌らしい香りのエレガンスや、スレンダー且つ長く続く綺麗な余韻。
- 日本の風土や日本人ヴィニュロンの作品らしい繊細でしなやかな質感。
日本の風土で育まれたブドウから醸す、その素性が素直に現れるワインは、同じ風土の食材と共鳴し合い、そのマリアージュは日本人の感性に響くに違いありません。
そして、そのアルバリーニョのワインは、ボルドーワインやブルゴーニュワインのように「新潟ワイン」として世界に誇れる普遍性をもつワインにまで昇華する可能性もあると信じています。
これにチャレンジすることがフェルミエのミッションのひとつであり、新潟でのアルバリーニョのワイン造りに取り組んで行くフェルミエの目指すところになります。
※インポーター資料より引用