
接ぎ木の先駆者から始まった名門ドメーヌの歴史
ジェラール・セガンの歴史は、1850年にアレクシス・セガンがブルゴーニュ地方のジュヴレ・シャンベルタンに小さなブドウ畑を持ったことから始まりました。
彼はブルゴーニュで初めてブドウ樹の「接ぎ木(つぎき)」を行った生産者のひとりです。19世紀後半、ヨーロッパ全体を襲ったブドウの害虫「フィロキセラ」による危機の際、接ぎ木技術によりブドウ畑を守った功績が評価され、多くの賞を受けました。
その後、畑の規模を徐々に拡大し、現在ではジュヴレ・シャンベルタンを中心に、シャンボール・ミュジニー、フィサン、マルサネの4つの村にまたがる計6.25ヘクタールの畑を所有。ジュヴレ・シャンベルタンには、樹齢100年以上の1級畑「クレピヨ」や、70年以上の「ラヴォー・サン・ジャック」といった貴重な区画も含まれています。

丁寧な手作業と自然への配慮を両立したブドウづくり
畑では、最新のトラクターで年6〜7回の土壌耕しを行いながらも、ブドウの管理は主に手作業で丁寧に行われています。仕立て方は「ギュイヨ仕立て」を採用し、1本の枝に芽を7つだけ残すよう剪定。病気予防のため、実ができた後は房の数を減らし、最終的には1ヘクタールあたり約40ヘクトリットルという控えめな収穫量を目指しています。
化学除草剤は使用せず、環境負荷を抑える栽培方法を徹底。硫酸塩の使用も避け、害虫対策には「交尾阻害カプセル」という自然に配慮した方法を活用しています。

テロワールを最大限に引き出す、シンプルかつ革新的な醸造
醸造設備には、オープン型のホーロータンクや高品質なステンレスタンクなど、最先端の機材を導入。低温(9℃)で5~6日間かけて果皮と果汁をなじませる「低温マセラシオン」を行い、野生酵母による自然発酵で、土地の個性(テロワール)をしっかり表現します。
発酵中の「パンチダウン」は1日2回。発酵後は、24~36時間の静置(デブルバージュ)を経て、基本的には20~50%の新樽を使用して熟成させます。
ワインのフレッシュさを守るため、瓶詰め前の濾過は必要に応じてのみ行い、必要な場合には珪藻土フィルターが使われます。
現当主は5代目のジェローム・セガン。ボーヌで栽培と醸造を学び、2006年からワイナリーに加わりました。2018年に父ジェラールと母シャンタルが引退後、ドメーヌを継承。革新的な機材の導入や、YouTube・Webを活用した情報発信にも力を入れており、伝統と進化を両立させながら新たな時代を切り開いています。