フィリップ・シャルロパン・パリゾ|アンリ・ジャイエの教えを継ぐブルゴーニュの名門ドメーヌ
【1.5haから始まった不屈の軌跡】
ドメーヌ・フィリップ・シャルロパン・パリゾは、1977年にフィリップ・シャルロパン氏が父アンドレ氏から1.5haのささやかな畑を引き継いだことでその歩みを本格化させました。
1976年に自身のドメーヌを設立して以来、彼は不屈の精神で少しずつ畑を広げ、当初のわずかな面積から着実に拡大を継続。
現在ではコート・ド・ニュイ、コート・ド・ボーヌ、さらにはシャブリにまでまたがる25haの所有畑から、35ものアペラシオンを手掛けるまでに成長を遂げました。
この躍進の背景には、現代ブルゴーニュで「ピノ・ノワールの神様」と称えられた故アンリ・ジャイエ氏の存在があります。
フィリップ氏は師から直接指導を受けた数少ない愛弟子の一人であり、その教えを根底に置きながら独自の感性を磨き上げることで、現在の確固たる地位を確立したのです。
畑の個性を体現する独自のスタイル|ジュヴレ・シャンベルタンを代表するモダン・ブルゴーニュ
こうして築き上げられたドメーヌは、今やトップドメーヌがひしめくジュヴレ・シャンベルタンのみならず、ブルゴーニュ全体を代表する存在となりました。
8つのグラン・クリュを含む膨大な区画を完璧に捉え、華やかなアロマと緻密な果実味を抽出するその手法は「シャルロパン・スタイル」と称され、モダンなワイン造りの先駆者として世界中の愛好家を魅了しています。
このスタイルは、「畑の個性を体現してこそグラン・ヴァン」という彼の揺るぎない信条を形にしたものに他なりません。
そのゴージャスな味わいゆえに、時にはテロワール以上に造り手の個性が際立っていると評されることもありますが、それは各畑のキャラクターを凝縮した完熟ブドウの持てる全てを、ワインへ忠実に反映させた結果と言えます。
実際に作品と真摯に向き合えば、ふくよかな味わいの中にピノ・ノワール本来の旨みとブルゴーニュならではの精緻さが密に詰まっていることに気づかされ、時代の寵児たる風格を湛えたそのワイン造りが、名実ともにブルゴーニュの至宝として今もなお進化を続けていることを確信させてくれます。
フィリップ・シャルロパン・パリゾの哲学|自然な造りでテロワールを表現するブルゴーニュワイン
「平凡ではなく、素晴らしいワインを造る」と語るフィリップ氏は、環境に配慮したワイン造りに取り組み、畑自身にテロワールを表現させることを目指して、あくまでも自然な手法をモットーとしています。
ブドウの質そのものがワインの完成度を決定づけると考える彼は、極力自然の力を邪魔することなく、樹が自力で凝縮味のある実を結べるよう細心の注意を払いながら栽培を管理してきました。
その具体例として挙げられるのがリュット・レゾネ(減農薬農法)の採用であり、栽培において除草剤と化学肥料は使用せず、殺虫剤も一切使いません。
その代わりにフェロモンカプセルを用いて害虫対策を行うなど、自然な環境づくりを徹底するとともに、低収量をもたらす古樹を大切に守り抜くことで、所有畑の樹齢は総じて高くなっています。
こうしたこだわり抜いた栽培を経て、140もの区画から収穫される多様な果実。
その一つひとつのテロワールを完璧に描き出すべく、2006年には家族経営のドメーヌとしては並外れて大規模な醸造施設を新設しました。
広大な施設内に、各区画の個性を細かく反映させるための小さなステンレスタンクがずらりと並ぶ光景は、まさに壮観の一言に尽きます。
収穫にあたってはブドウをしっかりと完熟させ、そこからさらに厳格な選別を実施。
この手法を成立させるには、本当に熟した健全な果実が不可欠だという彼の選果は極めて厳しく、一部のワインにはボルドーのトップシャトーが導入する光学式の選果台まで使う徹底ぶりです。

【師の技法の継承とスタイルの深化】
醸造面においては、師であるアンリ・ジャイエ氏の影響が随所にみられます。
徹底した収穫量の制限や野性酵母による発酵など、師の教えを色濃く受け継ぐ一方で、自らの手法も柔軟に進化させてきました。
駆け出しの頃はブドウを房ごと発酵させたり、樽の中の澱を攪拌して旨みを引き出すバトナージュを多用していましたが、現在はなるべく人為的な干渉を避けることを重視。
厳選した果実は全て除梗した後、豊かなアロマと色調を抽出するためにヴィンテージによって約1週間~20日の長い低温マセラシオン(醸し)を行い、凝縮感のある奥深いエキスを引き出します。
発酵に際しても培養酵母の使用や補酸は決して行わず、野生酵母の力のみを信じて委ねるのが彼のスタイルです。
さらに、複雑味を付加するために複数のメーカーが造る樽を使い分け、瓶詰め直前まで澱引きせずに長期間熟成させるのも、譲れないこだわりの一つ。
近年は新樽比率を抑えることで、以前のようなはっきりとしたロースト香や強いバニラ香が際立つ造りから、ピュアな果実味と芳醇なアロマが漂うエレガントな表現へと変化を遂げました。
熟成を経て樽のニュアンスがアロマに見事に溶け込み、洗練された奥行きが生まれるその作品は、まさにドメーヌの真骨頂といえる完成度を誇り、世代を超えて受け継がれています。
※インポーターおよび公式情報を基に構成