ストルプマン・ヴィンヤーズ|カリフォルニア・サンタ・イネス・ヴァレーで生まれた家族経営ワイナリー
家族の絆が育んだ「夢が叶った場所」
すべての始まりは、ナパ・ヴァレーでのハネムーン中にマリリン・ストルプマンが夫トムに語った「いつかブドウ園を植えたい」という大胆なアイデアでした。
二人がワインの世界に深く魅了されるにつれ、その夢は真実味を帯び、1990年、トムは理想の石灰岩土壌を求めて探し当てたサンタ・イネス・ヴァレーの土地を購入しました。
現在、夫妻はエステートの岬に建つ「ヴィラ・アンジェリ」に住み、文字通り夢が叶った場所を見下ろしながら暮らしています。
その情熱は、2009年に継承した息子ピートと妻ジェシカへと受け継がれました。
ピートは他メーカーへのブドウ売却を止めて自社生産を拡大し、栽培チームへの利益分配を全生産量の10%にまで拡大。
さらに特注のコンクリートタンクや炭酸発酵タンクの設置などワイナリーの改良を重ね、自らが最も誇りとする6,000本のブドウを植えた新畑「グレート・プレイス」を開墾するなど、父の築いた礎をさらなる高みへと進化させています。
創業当初より公私ともにピートを支え抜いたジェシカは、現在は経営を担いながら、二人の息子オーガストとオットーを育てる母として家族の未来を力強く支えています。
【石灰岩の奇跡と乾燥農法】
太平洋からの風が吹き抜けるこの地には、地表1m程度の粘土質の下に、地中90mまで続くライムストーン(石灰岩)層が広がっています。
この比類なき自然環境を守るため、設立以来一貫して行われているのが「ドライファーミング(乾燥農法)」です。
植樹から最初の5年程度は、幹や根を育てるために灌漑を行いますが、その後1、2年の「離乳期間」を経て灌漑を完全にストップすると、ブドウの根は水分や栄養分を自ら求め、地中深くへと伸びていきます。
興味深いことに、ブドウはそれまでの実果のサイズを記憶しています。
たとえ収穫数が減ったとしても、自らの力でそれまで作ってきた房の大きさになるよう成熟を遂げるのです。
この生命力の神秘こそが、土地のポテンシャルを最大限に引き出したワイン造りの原点となっています。

銘醸地を牽引する革新的な挑戦
ストルプマンのブドウは、ローヌ品種のワイン造りを目指す醸造家たちの間で、いつしか「カリフォルニアで最高のシラーを造るならここ」と語られる存在になりました。
過去に13度もパーカーポイントで100点を獲得した「シネ・クア・ノン」への提供実績が示す通り、その品質は、著名なワイナリーがこぞって買い付けてきた最高級の誇りそのものです。
【聖地バラード・キャニオンの誇り】
ストルプマン・ヴィンヤーズは、シラーの聖地としての地位を確立すべく、2013年のAVA(政府認可のブドウ栽培地域)認定において中心的な役割を果たしました。
現在、バラード・キャニオン全体で栽培される品種の60%をシラー、20%をグルナッシュやルーサンヌなどのローヌ品種が占めています。
この地のアイデンティティを象徴するように、同AVAの主要な8生産者は “ Ballard Canyon ” の文字を刻んだ共同ボトルを採用し、その品質を世界に示しています。
この地を牽引するストルプマン・ヴィンヤーズは、さらなる高みを目指して2022年ヴィンテージにCCOF(カリフォルニア有機農業認定団体)のオーガニック認証を、2023年にはデメターによるバイオダイナミック認証を取得しました。
こうした真摯な取り組みの積み重ねこそが、バラード・キャニオンを世界に誇る銘醸地へと押し上げる原動力となっています。
【信頼が生む独自のプロジェクト】
1994年から畑の管理を担うルーベン・ソラザーノ率いるチームと、ワイナリーとの共同事業が「ラ・クアドリーヤ」です。
各クルーが自ら任された区画のブドウでワインを造り、その収益を年末にボーナスとして直接還元するこの仕組みは、栽培チームの誇りと情熱の源となっています。
彼ら一人ひとりが醸造家に匹敵するプロ意識を持って向き合うことで、その味わいには、まさに「畑で造られるワイン」と呼ぶにふさわしい真実味が宿ります。
その「畑への信頼」は、 “ ニューカリフォルニアスタイル ” と呼ばれる新潮流を築くラジャ・パーとの出会いによって、さらなる革新へと繋がりました。
ストルプマンの畑を高く評価していたラジャがピーター・ストルプマンを説得して始まったのが、プロジェクト「Combe(コンブ)」です。
トゥルソーやシュナン・ブラン、ガメイといった、カリフォルニアではマイナーな品種を中心に造られる少量生産のワインは、ラジャの斬新なアイデアと確かな品質によって、今や世界中のソムリエたちが絶賛する存在となっています。
次なる展開を予感させる “ わくわくするようなプロジェクト ” は、今も着々と進行しています。

手仕事が生むピュアな情熱の極致
ストルプマンのワイン造りは、「すべてはブドウ畑にかかっている」という揺るぎない信念に基づいています。
機械化が進む現代にあって、剪定から瓶詰めまで、高度なスキルを持つチーム「ラ・クアドリーヤ」の手作業のみで行われ、畑にトラクターが入ることはありません。
細密な剪定や仕立て、そして各ヴィンテージを最適化するための調整には、一切の妥協も惜しみません。
収穫においても、早熟のソーヴィニヨン・ブランやトゥルソーから、晩熟のシラー、グルナッシュ、ムールヴェードル、ルーサンヌまで、戦略的な植栽によって約3ヶ月という長い期間を確保しています。
一列につき複数回の収穫を行い、熟した果実だけを摘み取って残りは数日間木にぶら下げておくという徹底した選別こそが、明るくフレッシュなエネルギーと芳醇な熟成感の両立を支えています。
【無垢な個性を導く醸造哲学】
収穫された果実は、ワイナリーへ運ばれると優しく導かれるように発酵を進めていきます。
ここでは、接種剤や硫黄、その他の添加物を一切使用しない「裸の発酵」を推奨。
多くの場合、ブドウを房ごと残すことで軽やかなニュアンスを引き出し、赤ワインは粗く邪魔な香りが出ないよう、人の足で優しく踏み固めて循環させます。
常に追求されているのは、際立つ果実のピュアさと、肉厚でシームレスなテクスチャーの融合です。
熟成期間はワインの力強さに応じて数ヶ月から2年以上におよび、新樽はルーサンヌの粘性を高めるためだけに使用。
特に「So Fresh(ソー・フレッシュ)」「Unfiltered(アンフィルタード)」「Esoteric(エソテリック)」シリーズの多くは硫黄を一切使用せずに瓶詰めされ、土地の記憶をありのままボトルに閉じ込めています。
※インポーターおよび公式情報を基に構成